カナダの田舎では寿司の人気はまだまだ衰える気配はない。日本食店3店舗運営するわが社の各店舗の売上の半分以上をしめるのがやはり寿司。売り筋はロール寿司に次ぐポッキ、刺身、握りの順。
寿司が人気なのは間違えない。ただ、寿司巻ける人のトレーニングが追い付いていないのが現実。一層のこと寿司をあきらめてラーメンやライスボールの店も検討としている。が、既存店では夏の繁忙期を目の前に人手が足りず、店長は悲鳴を上げている。
経営者としてはなんとかしてあげたい。
そして、昨日、たまたま日本にいる自営をしている先輩とチャットで会話を交わしていた。先輩もかつてカナダまで来て手伝ってくれたことがあるので、何かと僕は先輩とは話しやすい。
その先輩が何気ない会話から突如、
「前から伝えようと思ってたけど、かんの店を手伝った時、周りが皆忙しくしていて質問しにくい雰囲気があるんだよね。そろそろ教えるだけのポジションをいれたら、どう?」
それを聞いた途端、天から声が降りてきたかのように、「それだーー!!」と心の中で叫んでる自分がいた。これはまさしく内側からだと見えない盲目になっている点だった。
翌日の今日、さっそく実践。ここがわが社のすごいところ。良いと思ったことはすぐにやる。すぐに変更もする。担当したのは社長の僕。23歳の有望な新入社員が相手。彼は二週間ほど前から寿司トレーニングに入っていたが苦戦しているのを聞いていた。開店してから1時間ほどしてから僕は珍しくエプロン姿で店に入った。当の本人は嬉しい反面、緊張を隠せない様子だった。
2、3本寿司を巻いてもらって僕は黙って見守っていた。彼の弱点を見つけるのにそう時間はかからなかった。
本人を呼び止めて、僕は口を開いた。本人はちょっと硬直気味。
「しんや、俺にわかった。これだけ直せばグーンとしんやの寿司をよくなるポイントを俺は見つけた。」
本人は、笑みを浮かべて僕の言葉を待った。
僕が再び口を開いた。
「しんやは一回死んだほうがいいね。死に切れてない。そこが問題だ。」
本人はポカン。
「自分自分が強すぎて、出来ることも出来なくなっている。そこだ。」
若さ故にやる気も200%あって、気合と想いが強すぎる。完全に空回りしていた。若い時に誰にでもある経験かもしれない。その後、死ぬ方法を教え2時間に渡り細かいアドバイスを経て、寿司の出来が見違えるほど良くなった。
専属指導ポジションという点に辿りついていなかったら、まだまだ会社も店長たちも暗闇の中を彷徨っていたでしょう。ちょっとした会話から僕は答えを得る。これはまさに誰と何を話し時間を共有するかによって与えられる神様からのご褒美と言えよう。

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