West Kelowna店の調理部門担当をするのは愛称ホッシー。ホッシーと僕は、以前バンクーバーの同じ会社で働いていた。と言っても、店舗も違えば役職も違っていた。マネージャーだったホッシーを僕は指導する立場で数回個人ミーティングをした事がある程度。それほど彼の事を知らなかったが、当時の会社から誰を連れて行きたいかと聞かれたら、僕は100%ホッシーと決めていた。そんな彼の弊社への移籍を、2018年2月、前職場の社長は僕へのプレゼントとして認めてくれた。
ホッシーは多才で自由人でもある。弊社に来てからは全体をフォローしてくれる立場に立って、皆に頼られていた。と言っても、役職もなければ固定したポジションも無い。彼としてはフラストレーションもあったと思う。そんな彼に2号店のキッチンを任せる事を、僕は最初から決めていた。
バンクーバーでは「雑だが仕事が早い」と社内では有名だったホッシーだったが、2号店の厨房に立つや否やその変貌は著しかった。仕上がってくる一品一品に、気迫と思いやりが込められていることが、誰の目にも一目瞭然だった。一時的なものかと思われたが、一週間を通して変わることはなかった。

一週間終えて僕はホッシーに聞いてみた。「ホッシーが別人のようだと皆も言っているけど、何がそう変えさせたの?」ホッシーは僕を見ることなく、目を反らし躊躇いながら口を開いた。「バンクーバーにいた時は僕は本当に腐ってました。このKOJOに来て本当に変えられたんです。PentictonがBest Japanese of South Okanaganを取ったじゃ無いですか、僕は全 Okanaganでも一番取りたいんですよ。そう決めたら仕事が楽しくて・・・」
何事に関しても言えることだが、見た目が同じであったとしても、人は違いを感じるものだ。ホッシーから仕上がってくる料理を見て、本当にそう思う。レシピも量も全て規定通り、でも口にしてみるとまるで別の料理のようだ。お客さんに喜んで欲しい、一生懸命作る、そんな思いはお客さんに必ず通じる。KOJOには、そういった目に見えないことを確実にキャッチしてくださるお客さんが実に多い。その集まったお客さんたちが、また異次元の空間を作り出し、そして、それがまた更にお客さんを呼ぶ。これがKOJOマジックであると思うし、そうあり続けたい。

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