社長と言っても人間、過剰反応することもあれば、反省もする。部下に謝る場面があっても良いじゃない。
そう、やってしまった。
今週の始めから僕はソワソワしていた。
原因はいくつか考えられる。7月の予定だった二号店の開店が、9月に延期。しかし、日本から集めた豪腕なスタッフたちは、予定通り次々にカナダへ到着。30席しかない店に正社員が11名。人件費の心配が膨らむ。
それに加え3週間前に購入が決まったフードトラックのオーナーとの手続きが一向に始まらない。しまいには、彼は身内がなくなったから葬儀でアルバター州まで行かなくてはならないと言って、さらなる延期。はたまた2号店の改装は、やっと業者が決まったものの、家賃の関係など費用は予定を超え上がる一方。
まーそんなで火曜日に臨んだトップツーの早朝会議では、弊社のナンバーツーにアドバイスのつもりで言ったことが、彼の自尊心を傷つけた。そんなことも知らずにいた僕は翌々日の木曜日の彼との新企画案の検討会議では、彼の練りあげた企画内容にイラ立ち見せた。僕の述べた意見が彼自身を批判してしまった。彼は現場で誰よりも気を張りながら、会社の為に本当に貢献して来た。献身という言葉以外に見つかる言葉はない。僕は普段、彼に十分すぎるほど感謝していた。にも関わらずこの日、僕は自宅に帰ってからも考え込んでいた。なんで自分はこんなにもモヤモヤしているのかと自問自答した。
そして、わかったことは、けして彼の働きぶりや企画内容が問題ではなく僕の過剰反応が原因だった。つまり、本来自分の中にあった不安や恐れなどが何らかの事をきっかけに引き金となり、過剰(必要以上に怒ったり、圧力をかけたり、嫌味をぶつけたりなどの症状)反応してしまう。過剰反応をした本人には、そのことがただの引きがねであるとは、まず気づかない。怒りや不満は正当なものと勘違いをする。その感情は実際の出来事と直接関連(比例)しなかったりする。僕にそれが起こったのだ。
今朝、早々と出社した僕は彼が出勤してくるのを待っていた。
彼が通常通りに出勤してきた。「ちょっと話せるか?」と声をかけ、会議テーブルを挟んで互いに腰を下ろした。
開口一番に僕は、自分が最近ソワソワしていることを伝えた。「その中でひとまず企画書を作ってみてと軽く言ったにも関わらず、上がって来たものに対して僕のガッカリした態度は間違いだったと思う。悪かった。」と伝えた。本人は予想していたことと違うことを耳にして戸惑っている様子だった。更に僕は言葉を続けた。「最近の僕は自分でも整理できないほど、まとまりがつかない感じだ。」頷いていた彼は口を開いた。「最近の菅さんは、ちょっと違う」言葉選びに躊躇しながら、彼は続けた。「急に期待値が高くなったというか」僕は頷きながら、答えた。「わかる。自分でもどうしたら良いかわからない。逆にあなたからみて、どうしたら良いかアドバイスはないか?本当に思っていること言ってみてくれ!」。
彼はしばらく考えてから「この前の火曜日の早朝ミーティング、僕は本当に心が折れたんです。僕はこのところ仕事に一所懸命になりすぎて、妻に家でも仕事モードで気を張りつめているあなたは好きじゃないと言われながらも、現場をこなしながら頑張って来た。そんなところに、KちゃんにもYちゃんにも謝れと菅さんに言われた時は、、、、、。あの企画書も1日の仕事を終わらせた後に、必死に書いたんです。確かに不十分と言えば、、」そこまで言った彼の目は涙でいっぱいになっていた。彼の顔を見るのが辛く、顔をずっと下に向けていたかった。そんな僕の目にも涙が込み上げて来た。彼は家族を犠牲にしてまで会社のため、そして僕にも貢献しようと頑張っていた。なのに僕のしたことは、、、、。悔しい気持ちに堪えきれず、少年のように泣いている弊社のナンバーツーの姿が僕の目の前にあった。
僕は謝った。2人で祈った。
社長としてはダサいけど、自分はこんな関係を幹部と作れたことに、神様に感謝した。この経験は、一生忘れられることはなさそうだ。




0 comments on “ダサい社長! ”